長時間運転を続けるトラック運転手にとって、腰痛やヘルニアは職業病ともいえる深刻な悩みです。「休む暇がない」「痛みを我慢して運転している」という人も少なくありません。本記事では、腰痛や椎間板ヘルニアの原因から、日常でできる対策・予防方法までを詳しく紹介します。
トラック運転手が腰痛・ヘルニアを抱えやすい理由
長時間同じ姿勢で座っている
トラック運転手の業務は長距離・長時間の運転が基本で、1日8時間以上座りっぱなしのこともあります。同じ姿勢を続けることで腰回りの筋肉が固まり、血流が悪化し、疲労物質がたまって痛みを引き起こします。
運転中の振動や衝撃
大型車や中型車は、舗装状態の悪い道路や段差で強い振動を受けることがあります。こうした微細な衝撃が積み重なることで、腰椎や椎間板に負荷がかかり、慢性的な腰痛やヘルニアに発展することがあります。
荷物の積み下ろし作業
走行中の運転だけでなく、積荷の運搬や手作業による積み下ろしも腰への大きな負担になります。特に重い荷物を何度も持ち上げる作業は、急激な負荷を腰にかけるため注意が必要です。
腰にかかる主な負荷要因 | 内容 |
---|---|
長時間運転 | 姿勢固定による筋肉疲労、血流悪化 |
振動と衝撃 | 路面からの振動で腰椎にダメージが蓄積される |
荷役作業 | 重い荷物を扱う際に瞬間的な負荷がかかる |
腰痛やヘルニアの主な症状とは?
初期症状:鈍い腰の痛みや重だるさ
「少し腰が重い」「立ち上がる時に痛む」といった症状は初期段階のサインです。この段階で適切な対応を取れば、悪化を防ぐことが可能です。
中期症状:痛みが強くなり、可動域が制限される
放置すると、腰を曲げたり伸ばしたりする動作に制限がかかり、仕事に支障が出てくるようになります。疲労の蓄積と共に、痛みが慢性化していくのもこの段階です。
ヘルニア進行時:足のしびれや痛み、筋力低下
椎間板ヘルニアが進行すると、神経が圧迫されて下肢にしびれや痛みが出ることがあります。重症化すると歩行困難になり、仕事を続けることが難しくなります。
トラック運転手のための腰痛・ヘルニア対策
姿勢の改善とシート環境の見直し
運転姿勢を正しく保つことが腰痛防止の第一歩です。シートは深く座り、腰にフィットするようクッションを使用しましょう。背筋をまっすぐ伸ばし、骨盤を立てるように座ることが大切です。
シートの角度や高さも自分の体格に合うように調整し、ペダル操作に無理がかからないように意識しましょう。
腰用サポーターの活用
腰への負担を軽減するために、運転中は腰用のコルセットやベルトを着用するのも有効です。適度に圧迫することで筋肉が安定し、腰椎へのダメージを抑えることができます。
運転中にこまめな休憩とストレッチを取り入れる
2時間に1回は休憩を取り、立って体を動かすことで筋肉のこわばりを和らげましょう。簡単な前屈や腰のひねり運動などを取り入れることで、血流が改善され、痛みの予防に繋がります。
荷物の持ち上げ方を工夫する
荷物を持つ際には「腰ではなく足を使って持ち上げる」ことが鉄則です。膝をしっかり曲げ、背筋を伸ばして荷物に近づいてから持ち上げるようにしましょう。
対策方法 | 効果 |
---|---|
姿勢改善 | 骨盤と背骨のバランスを整えて負担軽減 |
クッション使用 | 腰への衝撃を吸収し座圧を分散 |
腰用サポーター | 腰部を安定させ筋肉疲労を防ぐ |
ストレッチと休憩 | 血行改善・筋肉の柔軟性維持 |
正しい荷物の持ち方 | 急な負荷を避け腰椎へのダメージを軽減 |
自宅でできる腰痛予防ストレッチ3選
骨盤ゆらしストレッチ
骨盤を左右にゆっくり揺らす運動で、長時間の座位で固まった筋肉をほぐします。椅子に座った状態で簡単にできるため、出発前や休憩中にもおすすめです。
膝抱えストレッチ
仰向けに寝た状態で片膝を胸に引き寄せ、腰周辺の筋肉をゆっくり伸ばします。左右それぞれ10秒ずつ、3セットを目安に行うと効果的です。
猫のポーズ(キャットバック)
四つん這いの状態で背中を丸めたり反らせたりする動作です。背骨を柔軟に保つことができ、腰痛だけでなく背中全体のコリ解消にも有効です。
それでも痛みが続くときは専門医の受診を
腰痛やしびれが長期間続く場合や、歩行に支障が出ている場合は、整形外科の受診をおすすめします。特に椎間板ヘルニアや坐骨神経痛が疑われる場合は、画像診断とリハビリを含む治療計画が必要です。
早期の対応が後遺症を防ぐカギになりますので、「我慢すれば治る」と考えず、積極的に専門家に相談しましょう。
まとめ
トラック運転手にとって腰痛やヘルニアは身近な健康リスクであり、放置すれば仕事の継続自体が難しくなります。日常的な姿勢の見直しや休憩の取り方、ストレッチの習慣化によって、痛みの予防と軽減は十分に可能です。
毎日の小さな工夫が、将来的な大きな負担の軽減につながります。体が資本の職業だからこそ、腰のケアは欠かせない業務の一環として、意識的に取り組んでいきましょう。
コメント