ドライバーの健康診断項目とは?注意すべき健康管理と安全運転の関係を解説

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監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

トラックやタクシー、バスなどのドライバーは、長時間の運転による身体的負担やストレスに常にさらされています。安全運転を維持するためには、定期的な健康診断と日頃の体調管理が欠かせません。本記事では、ドライバーに求められる健康診断の項目や、その目的、健康を維持するための具体的な注意点について解説します。

なぜドライバーに健康診断が必要なのか?

交通事故を未然に防ぐため

運転業務は、社会的責任が大きい仕事です。万が一、運転中に健康異常(心疾患・めまい・意識障害など)が発生すれば、大事故につながる恐れがあります。そのため、ドライバーには法令に基づく定期的な健康診断が義務付けられています。

法律で定められている義務

「労働安全衛生法」や「道路交通法」によって、事業者は従業員ドライバーに対し、年に1回以上の定期健康診断を実施することが義務付けられています。加えて、運送業などでは「雇入れ時健康診断」や「特定業務従事者健康診断」も対象になります。

ドライバーが受ける健康診断の主な項目

健康診断項目内容
問診・既往歴確認自覚症状・家族歴などのヒアリング
身長・体重・BMI体格や肥満度のチェック
視力検査両眼・片眼の裸眼・矯正視力の測定
聴力検査1,000Hz・4,000Hzの音を聞き取る能力の確認
血圧測定高血圧や低血圧の早期発見
尿検査糖尿病・腎疾患の兆候を確認
胸部X線検査結核や肺がんなどの呼吸器系疾患を確認
血液検査肝機能・脂質・血糖など内臓疾患のスクリーニング
心電図検査不整脈や心疾患の有無を確認

特定業務従事者の追加項目

大型車両の運転や夜間勤務が多いドライバーには、上記に加え、脳・心臓疾患リスクに関する検査(心電図・血糖・脂質検査など)も追加されることがあります。

健康診断を怠るとどうなる?

事業者の法的責任

健康診断を受けさせていない場合、事業者は「労働安全衛生法違反」に問われる可能性があります。罰則として罰金や指導が入ることがあり、最悪の場合、行政処分や営業停止に発展するケースもあります。

ドライバー個人のリスク

健康異常を放置したまま運転業務を続けると、急な発作や意識障害を引き起こすリスクが高まり、重大事故の加害者になる恐れがあります。また、診断結果を把握せずに業務を続けることは、労働者本人にとっても大きな健康リスクとなります。

日常的に注意すべき健康管理とは?

食生活の見直し

運転業務では不規則な食生活になりがちですが、外食中心の高脂質・高塩分な食事は生活習慣病のリスクを高めます。野菜・魚・発酵食品を意識して取り入れ、1日3食をできるだけ規則正しく摂るよう心がけましょう。

水分補給と塩分管理

長時間の運転中でも適切な水分補給を心がけることが大切です。とくに夏場は熱中症対策として、定期的な水分と適度な塩分の摂取が必要です。糖分の多い清涼飲料ではなく、水や麦茶、スポーツドリンクの活用がおすすめです。

睡眠と休息の確保

睡眠不足は集中力や判断力を著しく低下させます。特に夜勤があるドライバーは、シフトに応じた睡眠スケジュールを確保し、就寝前のスマートフォン使用や飲酒を避け、深い睡眠を取る環境づくりを心がけましょう。

運動不足の解消

長時間座ったままの姿勢は、腰痛や血流障害の原因になります。休憩時間には軽いストレッチやウォーキングを取り入れ、腰や足の血流を改善することが大切です。業務後に軽い運動習慣を設けるのも効果的です。

健康管理のポイント具体的な対策内容
食事バランス野菜・魚・発酵食品を積極的に摂取、外食メニュー選びに工夫を
睡眠の質の向上7時間以上の睡眠、就寝前のスマホ・飲酒は控える
水分・塩分管理水・麦茶・スポーツドリンクで定期補給、甘い飲料は避ける
休憩中のストレッチ腰、肩、足のストレッチを取り入れ、筋肉の硬直を防ぐ

健康診断結果に基づいたフォローも重要

健康診断は受けるだけでは意味がありません。結果に異常が見つかった場合は、医師による再検査や治療が必要です。また、事業者は再検査の指示や業務配慮(勤務時間の見直しなど)を講じる必要があります。

自覚症状がない場合でも、数値上の異常が続けば将来的な疾患につながる可能性があるため、予防的な行動が求められます。

ドライバーに推奨される健康習慣とは?

  • 毎年、健康診断を必ず受診する
  • 空腹を避け、食後の眠気対策として低GI食品を選ぶ
  • 週に2回以上の軽い運動(ウォーキング・ラジオ体操など)
  • 喫煙を控え、禁煙外来などの支援を活用する
  • アルコールは業務に影響しない時間帯で、適量に留める

まとめ

ドライバーの健康管理は、自身の命を守るだけでなく、社会全体の安全を守るためにも極めて重要な要素です。健康診断を受けることは法的義務であり、事故防止にも直結します。

企業としても、従業員の健康意識を高める取り組みを進め、定期健診の徹底や日々の体調チェック体制を整えることが、安全で持続可能な運転業務を支える礎となります。健康であることこそが、プロドライバーとしての第一条件です。

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