エキゾーストブレーキって?トラックの排気ブレーキの仕組みとは?

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監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

大型トラックの運転では、高速道路や下り坂での制動性能が非常に重要です。そんなときに活躍するのが「排気ブレーキ」、または「エキゾーストブレーキ」と呼ばれる補助ブレーキです。エンジンブレーキとは異なり、専用の装置によってブレーキ効果を高める仕組みが特徴です。本記事では、エキゾーストブレーキの仕組みや特徴、使用時の注意点などをわかりやすく解説します。安全なトラック運転を支えるために、ぜひ理解を深めましょう。

エキゾーストブレーキとは?

エキゾーストブレーキとは、排気ガスの流れを制御することで、エンジンの回転抵抗を利用して減速させる補助ブレーキの一種です。特に、大型トラックやバスなど、車体重量の重い車両に搭載されています。


基本的な仕組み

エキゾーストブレーキは、排気マフラーに取り付けられたバルブ(排気絞り弁)を閉じて、排気ガスの流れを一時的に遮断します。これにより、エンジン内部の排気圧が上昇し、ピストンの動きが制限され、エンジン自体にブレーキ効果が生じる仕組みです。


項目内容
主な用途下り坂などでの補助減速
作動方式排気管内のバルブを閉じる
作動条件アクセルOFF時に作動する
対象車両大型トラック、大型バス など

このブレーキは、あくまで補助ブレーキであり、サービスブレーキ(フットブレーキ)との併用が基本です。


エンジンブレーキとの違い

混同されがちですが、エンジンブレーキとエキゾーストブレーキは別物です。エンジンブレーキはアクセルを離すことで自然に働く減速現象であり、追加装置はありません。一方、エキゾーストブレーキは専用の機構を利用することで、より強力な減速力を得ることができます。

ブレーキ種別エンジンブレーキエキゾーストブレーキ
減速力弱い強い
機構装置なし排気絞り弁を使用
使用条件アクセルOFFで自動作動ドライバーが操作
主な搭載車全車種大型車に多い

エキゾーストブレーキの主なメリット

フットブレーキの負担軽減

頻繁な制動が求められる長い下り坂などでエキゾーストブレーキを活用すれば、フットブレーキの使用回数を減らすことができ、ブレーキパッドの摩耗やフェード現象(熱による制動力低下)を防止できます。


長距離運転時の安全性向上

連続的な制動を要する場面でも、安定した減速力が得られるため、ドライバーの操作ミスやブレーキの過熱による事故リスクを低減できます。


メンテナンスコストの削減

フットブレーキの摩耗が抑えられることで、ブレーキパッドやライニングの交換頻度が少なくなり、整備コストや手間も減少します。


使用時の注意点と制限事項

エキゾーストブレーキは便利な装置ですが、過信は禁物です。状況によっては、十分な減速力が得られない場合もあるため、適切な使い方と補助的なブレーキ操作が求められます。


エンジン回転数が低いと効果が薄い

エキゾーストブレーキの減速力は、エンジン回転数が高いほど強くなります。そのため、低速走行や平坦な道では、効果が感じられにくいことがあります。


積載量による影響

トラックに重い荷物を積載していると、エキゾーストブレーキだけでは制動力が不足する場合があります。その際は、補助ブレーキやフットブレーキと併用することが必要です。


路面状況によっては使い方に注意

雨天時や雪道など滑りやすい路面では、急激なエンジン抵抗がスリップを誘発するリスクがあります。状況に応じてエキゾーストブレーキの使用を控える判断も重要です。


エキゾーストブレーキ以外の補助ブレーキとの違い

大型車両には、エキゾーストブレーキ以外にも、さまざまな補助ブレーキが搭載されています。それぞれの特徴を理解することで、より安全な運転が可能になります。

補助ブレーキ特徴対象車両
エキゾーストブレーキ排気抵抗を利用大型トラック
リターダトランスミッションやドライブシャフトを制御高速バス、大型トラック
ジェイクブレーキ(エンジンブレーキの強化型)排気弁を制御して強い減速力を発揮一部トラック

まとめ

エキゾーストブレーキは、トラックにおける安全走行を支える重要な補助ブレーキです。排気ガスの流れを制御するという独自の仕組みにより、長い下り坂や高速走行時でも安定した減速を実現します。

ただし、エキゾーストブレーキはあくまで補助的な装置であり、フットブレーキや他のブレーキシステムとの併用が前提です。車両や走行条件に応じた正しい使い方を身につけることで、ブレーキ性能を最大限に活かすことができます。

ドライバーとして、安全意識と車両理解を高め、事故防止と車両寿命の延長につなげましょう。

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