トラック運転手のヒヤリハット対策について詳しく解説

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監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

「急ブレーキを踏んだ」「死角から人が飛び出してきた」など、事故には至らなかったものの危険を感じた経験――それが“ヒヤリハット”です。トラック運転手にとって、こうした瞬間は日常的に発生し得るものであり、適切な対策を講じることが事故防止の第一歩となります。本記事では、トラック運転手が現場で感じやすいヒヤリハットの具体例と、それに対する効果的な予防策について詳しく解説します。

ヒヤリハットとは?

ヒヤリハットとは、事故にはならなかったものの「ヒヤッとした」「ハッとした」ような危険な状況を指す言葉です。労働安全衛生の現場では、「1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故、300件のヒヤリハットがある」と言われており、ヒヤリハットを見逃さずに対策することで、大きな事故を防ぐことができます。

特に大型車両であるトラックは死角が多く、重量があるため、わずかな判断ミスが大事故に直結するリスクを常に抱えています。


トラック運転手が遭遇しやすいヒヤリハットの具体例

シチュエーションヒヤリハットの内容
荷下ろし時の後方確認不足歩行者や自転車が接近しているのに気づかず、接触寸前で止まった
左折時の巻き込みリスクミラーの死角に二輪車や歩行者が入り込み、巻き込みそうになった
車間距離の詰まりすぎ前方車両が急停車し、急ブレーキでギリギリ回避
高速道路での車線変更後方車両の確認不足により、車線変更時に接触しそうになった
夜間走行中の視認ミス照明が不十分な場所で、道路脇の障害物や人に気づくのが遅れた
狭路でのすれ違い・出会い頭路地や交差点で対向車と接触寸前まで接近した

どれも一歩間違えば重大な事故に発展しかねない事例です。重要なのは「起きる前提」で対策を立てることです。


ヒヤリハットを減らすための対策

1. 運転前の点検と確認

  • 車両の死角やミラーの調整、タイヤの状態、灯火類のチェックを徹底する
  • 毎日同じルートでも「慣れすぎ」による油断を避けるため、初心を忘れず点検を実施

2. 安全な運転行動の徹底

  • **「止まる・見る・待つ」**を基本に、無理な割り込み・急ブレーキを避ける
  • 交差点や左折時は目視とミラーで二重確認を徹底

3. ヒヤリハットの記録・共有

  • 小さなヒヤリ体験もその場限りにせず、社内で共有・報告書として残す
  • 似た場面で同じことが起きないよう、チーム全体で対策を共有

4. ドライブレコーダーの活用

  • 映像による振り返りで、判断ミスの要因を明確化
  • 危険シーンを映像教材として活用し、全体の安全意識を高める

5. 十分な休息・体調管理

  • 疲労による判断ミスを防ぐため、勤務前後の睡眠と食事をしっかりと確保する
  • 自覚のない“慢性疲労”こそ事故の元。体の不調時は早めに申告を

ヒヤリハット対策の社内での活用法

活用方法内容
定期的な安全ミーティング過去のヒヤリ事例を元にしたケーススタディや、対策アイデアの共有が効果的
ヒヤリハット報告制度の導入運転手が自由に報告できる仕組みを整備することで、事故の芽を早期発見できる環境を構築できる
表彰制度の導入ヒヤリハットを共有・報告した社員にポイントや表彰を与えることで、報告意欲が高まる
教育・研修の反映実際のヒヤリ事例を研修に取り入れ、現場で役立つ安全知識の習得を促す

ヒヤリハットは「注意力が足りない」からではなく、「起きうること」として捉え、組織として予防文化を醸成していくことが重要です。


まとめ

トラック運転手にとって、ヒヤリハットは日常的なものですが、それを軽視せず、確実に対処することが安全運転の基盤です。事故を未然に防ぐためには、個々の注意だけでなく、チーム全体での情報共有と組織的な安全対策が不可欠です。日々の小さな「ヒヤリ」を「気づき」に変えて、重大事故のリスクを減らす意識を持ち続けましょう。

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