いまさら聞けない?点呼って?重要性やポイントについて解説

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監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

「点呼」とは、運送業界で日常的に行われている業務のひとつですが、その本来の目的や正しい実施方法を理解していない人も少なくありません。本記事では、点呼の基本的な意味から法令上の位置づけ、実施時の注意点まで、物流や運送業界に携わるすべての方に向けて分かりやすく解説します。

点呼とは何か

点呼とは、運転業務を行う前後に運転者の健康状態や車両の安全確認を目的として行う業務管理の手続きです。点呼の実施は国土交通省によって定められており、貨物自動車運送事業者はこれを義務として遂行しなければなりません。

点呼の対象には「乗務前点呼」「乗務後点呼」「中間点呼」などがあり、それぞれに明確な目的と内容があります。


点呼の種類とその内容

種類実施のタイミング主な確認事項
乗務前点呼出庫前健康状態、酒気帯び、免許証の確認、車両の安全
乗務後点呼帰庫後疲労度、運行中の異常の有無、事故の報告
中間点呼長時間の運行中運行状況や体調確認(無線や電話で実施)

特に乗務前点呼では、アルコール検知器を使用した酒気帯び確認が義務付けられており、記録の保存も必要です。


なぜ点呼は重要なのか

点呼の目的は、ドライバーと周囲の安全を守ることにあります。万が一、体調不良や飲酒状態での運転が行われれば、重大な事故に直結する可能性があります。そのため、企業としても点呼を「形式的な儀式」ではなく「安全確保の最前線」として捉える必要があります。

また、点呼は運転者の労務管理や、業務のトレーサビリティ向上にも貢献します。記録を残すことで、万が一の際の説明責任を果たすことが可能です。


点呼実施時のポイント

項目内容
一貫した運用担当者が変わっても同じ手順で行う
正確な記録誤記や記入漏れを防ぐ仕組みが必要
機器の整備アルコール検知器の定期校正や動作確認
教育の徹底担当者やドライバーへの定期的な研修

点呼記録は最低でも1年間保存する義務があります。特に電子点呼を導入している場合は、システム管理による記録保持とセキュリティ管理も重要です。


点呼に関連する法令と罰則

点呼は「貨物自動車運送事業輸送安全規則」に基づき実施義務が定められています。違反が発覚した場合には、以下のような行政処分や罰則が科される可能性があります。

違反内容罰則または処分内容
点呼の未実施行政指導または事業停止命令
酒気帯び運転の見逃し刑事罰・免許取消の可能性
記録不備業務改善命令、監査対象になることも

法令を守ることはもちろん、事故のリスクを未然に防ぐという観点でも、点呼の徹底は企業運営にとって不可欠です。


点呼のデジタル化と今後の展望

近年では、ICT技術を活用した「デジタル点呼」も広がりを見せています。対面が困難な場合でも、モバイル端末やクラウドを活用することで点呼の実施が可能になります。

メリット内容
柔軟な対応拠点外・直行直帰などでも実施可能
効率化自動記録で手間を削減
法令対応記録の保存や監査対応が容易に

今後は、AIを活用した体調の自動判定や、顔認証による本人確認など、さらに高度な点呼システムの登場も予測されます。


まとめ

点呼は、物流や運送業界において「安全の要」といえる業務です。法令に則った実施と、日々の運用精度の向上によって、事故リスクの軽減と企業の信頼性向上が実現できます。単なる義務としてではなく、企業文化の一部として定着させることが、今後ますます求められるでしょう。

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