物流のラストワンマイルって?問題点や課題について解説

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監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

ネット通販の急拡大や消費者ニーズの多様化により、物流業界では「ラストワンマイル」が注目されています。これは、商品が顧客の手に届くまでの最後の区間を指し、物流全体の中でも最もコストや手間がかかる部分です。本記事では、ラストワンマイルとは何かを明らかにし、その課題や解決の方向性について詳しく解説します。

ラストワンマイルとは?

ラストワンマイルとは、物流工程の中で、最終的に商品を顧客の手元に届けるまでの最後の区間を指します。具体的には、配送拠点から個人宅や企業へ商品を届けるプロセスのことを意味します。

区間内容
ファーストマイル製造工場から物流拠点への移動
ミドルマイル拠点間、センター間の幹線輸送
ラストワンマイル拠点からエンドユーザーへの最終配送

ラストワンマイルは、直接消費者と接点を持つため、顧客満足度にも直結する非常に重要な領域です。


ラストワンマイルの問題点

ラストワンマイルの現場では、さまざまな問題が発生しています。

問題点内容
再配達の増加不在時の配達が多く、配送効率が低下
ドライバー不足担い手が減少し、配送が追いつかない状況に
コストの肥大化個別配送が中心となるためコスト負担が大きい
都市部の交通制約駐車スペースや交通規制で配達に時間がかかる
顧客の多様化配達希望時間や場所の指定が複雑化している

特に「再配達」は、時間と人件費のロスを生み、業界全体の課題となっています。


ラストワンマイルの課題と背景

ラストワンマイルが抱える課題の背景には、社会的な要因も深く関係しています。

要因説明
EC市場の成長通販利用者の急増により宅配件数が過去最多に
少子高齢化働き手不足と高齢者の配送ニーズの増加
多様なニーズ当日配送・時間帯指定・置き配などニーズの細分化
労働環境の問題長時間労働と待遇問題がドライバー離職の一因に

「便利さの裏側で現場が疲弊している」構図が、ラストワンマイルに集中しています。


解決に向けた取り組みとアイデア

多くの企業や自治体が、ラストワンマイルの課題に対してさまざまな対策を講じています。

対策内容
宅配ボックスの普及不在時でも荷物の受け取りが可能に
置き配サービスドライバーと接触せずに荷物を届ける手法
自転車・ロボット配送小回りが利き、都市部に適した手段
シェアリング配送複数の荷主で配送網を共同利用する仕組み
コンビニ受取顧客が自分のタイミングで商品を受け取れる

これらの手法は、再配達の削減や人手不足の緩和、配送コストの低減にもつながります。


今後の展望と求められる考え方

ラストワンマイル問題の解決には、業界だけでなく消費者の理解と協力も必要です。

観点必要な意識
利用者の協力置き配への理解や再配達防止の意識
テクノロジーの活用AIによるルート最適化や無人配送の進化
地域連携地域の交通・商業資源との連携による効率化
持続可能性の視点環境負荷を抑えた配送手段の選択

配送の「最後の1マイル」が、今後の物流の未来を左右すると言っても過言ではありません。


まとめ

ラストワンマイルは、物流の中でも最も繊細かつ複雑な領域です。消費者ニーズの高度化や人手不足といった課題に直面しながらも、技術や仕組みの工夫によって徐々に改善が進められています。物流の最前線であるこの領域に注目し、企業も社会も「持続可能なラストワンマイル」を目指していく必要があります。

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