トラックドライバーの休息期間は変化した?変更点とポイントについて解説

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監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

2024年問題として注目を集めた働き方改革の影響により、トラックドライバーの休息期間にも大きな変化がありました。過労運転の防止と労働環境の改善が目的とされた今回の改正では、労働時間の上限や休息の取り方に新しいルールが加わっています。本記事では、具体的な変更点と押さえておくべきポイントを分かりやすく解説します。

トラックドライバーの休息期間とは?

「休憩」と「休息」の違いを理解する

トラックドライバーにおける「休息期間」は、1日の業務終了から次の業務開始までの間に与えられる連続した休みの時間です。「休憩時間」と混同されがちですが、休憩は業務中に取る小休止、休息は勤務時間外の睡眠や私的時間を指します。

用語内容最低基準
休憩時間勤務中に取る短時間の休み(例:昼休み)8時間勤務で45分以上
休息期間業務終了後から次回勤務までの連続した休み8時間以上

休息期間の確保は、疲労の蓄積防止や事故防止に直結するため、法令で厳しく定められています。


2024年の変更点とは?

自動車運転業務にも時間外労働の上限が適用

これまで、トラックドライバーの労働時間は「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」により独自のルールが設けられていました。しかし2024年4月からは「働き方改革関連法」の適用対象となり、時間外労働の上限や休息時間に明確な制限が加えられました。

項目改正前改正後(2024年4月以降)
年間時間外労働の上限実質的に無制限年間960時間まで
拘束時間の上限原則13時間(最大16時間)同様だが超過に対する監視強化
休息期間の最低時間8時間以上原則11時間を努力義務、8時間は絶対基準
連続勤務の抑制規定なし週1回以上の休息日を設定することが推奨

特に休息期間に関しては、「11時間以上の休息」を推奨する方針が示されたことが重要なポイントです。


ドライバーに与える影響は?

労働時間短縮と運行計画の見直しが必要

今回の改正は、ドライバーの安全と健康を守ることが目的ですが、現場ではスケジュールや業務体制の見直しが求められています。

影響項目具体的な影響内容
配送計画の見直し従来よりも拘束時間に余裕をもたせた計画が必要。無理な積み込みや遠距離運転が制限される
シフト制度の再構築長時間拘束を避けるため、複数人の交代制や短時間勤務の導入が進む
車両待機時間の削減待機時間が長いと休息時間が削られるため、荷主側との調整が必要となる
離職率の改善労働環境の改善により、ドライバーの定着率が上がる可能性も

運行管理者や経営層も含めた全社的な対応が求められます。


安全運転と健康維持のためのポイント

規則の理解と自己管理が重要

制度が整っても、実際に安全運転と健康を維持するには、ドライバー自身の意識と行動も重要です。

ポイント解説
スケジュールの確認自分の出勤・退勤時刻と休息時間を正確に把握し、無理な運行をしないこと
体調管理睡眠時間をしっかり取り、体調に異常があるときは早めに報告する習慣をつける
法令知識の習得拘束時間や休息期間のルールを定期的に学び直し、会社との確認を怠らない
運行記録の整備デジタコや運転日報などを正しく記録し、適正運行ができているかを確認する

個人だけでなく、企業側も研修やマニュアルを通じて周知を徹底することが求められます。


まとめ

トラックドライバーの休息期間に関する制度は、2024年を境に大きく見直されました。拘束時間や休息期間のルールが強化されたことで、安全運転の確保や過労の防止に役立つ反面、現場では新たな対応が求められています。ドライバー自身も制度を正しく理解し、体調管理やスケジュール調整を意識することが重要です。働きやすく、事故のない職場環境を目指すためにも、休息期間の新ルールにはしっかりと対応していきましょう。

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