トラックのエアタンクの役割って?点検方法についても解説

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監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

トラックには、普通車には搭載されていない「エアタンク」という装置が備えられています。このエアタンクは、車両の安全な運行や操作に欠かせない重要な部品ですが、その仕組みや役割、そして点検の重要性について正しく理解している人は多くありません。この記事では、トラックのエアタンクが果たす役割や構造、点検方法と注意点について、わかりやすく解説します。運転手だけでなく、整備担当者や車両管理者にとっても必読の内容です。

エアタンクとは何か?その仕組みと基本構造

エアタンクとは、トラックに搭載されている空気を蓄えるための金属製のタンクで、主にエアブレーキやクラッチ、サスペンションなどに圧縮空気を供給するために使用されます。エンジンで駆動されるエアコンプレッサーが空気を圧縮し、エアタンクに貯め、それを必要に応じて各システムに送ります。

項目内容
役割圧縮空気の蓄積と供給
主な用途ブレーキ、クラッチ、エアサスなど
材質耐圧性の高いスチール製が主流
位置車両の床下や側部に取り付け

エアタンクには、水分や汚れが混入しやすいため、定期的なドレン(排出)作業が欠かせません。


エアタンクの具体的な役割とは?

トラックのエアタンクは、以下のような複数の機能に空気を供給することで、安全性と走行性能を支えています。

1. エアブレーキの作動源

トラックや大型車両では、油圧ブレーキではなく「エアブレーキ」が採用されていることが多くあります。エアブレーキは、圧縮空気を使ってブレーキシステムを作動させるため、エアタンクが空気源として重要な役割を担います。


2. クラッチの作動補助

エアシステムを利用したクラッチでは、ペダルの操作をスムーズにし、ドライバーの負担を軽減します。これもエアタンクから供給される圧縮空気により成り立っています。


3. エアサスペンションの空気供給

荷物の積載量によって車体の高さや姿勢が変化しないよう、エアサスペンションが自動で車高を調整します。この作動にもエアタンクの圧縮空気が使われます。


使用用途具体的な役割
ブレーキ系統圧縮空気で制動力を発生させる
クラッチ系統クラッチの補助作動を行う
サスペンション系統車高を自動調整し走行安定性を確保
補助装置ドア開閉・ホーンなどへの供給

エアタンクの点検が必要な理由

トラックの安全運行を確保する上で、エアタンクの点検は欠かせません。特に注意すべきなのは、タンク内にたまる「水分」や「ゴミ」、そして「圧力の不足」です。これらを放置すると、エア系統の詰まりやブレーキの不具合、車両の性能低下につながります。


水分の蓄積による腐食リスク

圧縮空気には湿気が含まれており、タンク内に水分が溜まりやすくなります。これをそのままにすると、内部が腐食し、最悪の場合エア漏れやタンクの破損につながる恐れがあります。


ゴミや油分の混入による作動不良

エアコンプレッサーの不具合や吸気口の汚れにより、ゴミや油分が混入する場合があります。これにより、ブレーキ系統やバルブの作動不良が起こる可能性があります。


エアタンクの正しい点検方法

エアタンクの点検は日常点検の一環として実施されるべき項目です。主に行うべき内容は以下の通りです。

点検項目チェック内容
外観点検ひび割れ、腐食、漏れがないか確認
エア漏れ点検車両始動後のエア圧低下がないか
ドレン排出水分や異物の有無を確認し定期排出
圧力計の確認規定値まで圧が上がっているか

特に「ドレン排出」はエアタンクの寿命と安全に直結する重要な作業であり、1日1回以上の実施が推奨されます。


ドレン排出のやり方と注意点

ドレンバルブはタンクの底部に設置されており、ここから水や異物を排出します。方法は以下の通りです。

  1. 車両停止・エンジン停止の状態で作業
  2. タンク下のドレンバルブを開放
  3. 水分と異物が完全に出たことを確認
  4. バルブをしっかり閉めて作業完了

※ドレン作業中は顔や体に空気がかからないよう十分注意し、作業手袋・保護メガネを着用することが望まれます。


まとめ

トラックのエアタンクは、エアブレーキやエアサスといった車両の根幹部分を支える重要な部品です。その役割を正しく理解し、日常的に点検・メンテナンスを行うことで、車両のトラブルを未然に防ぐことができます。

特にドレン排出は忘れがちですが、トラックの安全性と性能維持のために欠かせない作業です。トラックを運転する方や整備に携わる方は、エアタンクの点検を習慣化し、常に万全な状態で車両を運行させるように心がけましょう。

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