トラックドライバーが知っておきたい 1運行144時間ルール

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監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

長距離輸送を担うトラックドライバーにとって、現場での拘束時間の制限は重大なルールです。その中でも「1運行144時間ルール」は、安全運行と労働者保護を両立させるための基準として重要です。本記事では「1運行」の定義、144時間制限の趣旨、例外扱い、運行管理上の注意点をわかりやすく整理します。

1運行144時間とは何を指すのか

1運行の定義と時間の起算点

「1運行」とは、ドライバーが所属営業所を出発してから、最終的に同じ営業所(または帰庫前処理を行う事業所)へ戻るまでの期間を指します。
この間に、運転・休憩・待機・荷卸し・休日取得などが含まれます。ただし、旅客輸送用フェリーの乗船時間など、特定条件下での休息時間は除外される扱いになる場合があります。

なぜ144時間か

この数字は6日分(24時間 × 6日=144時間)を基礎としており、それ以上連続して運行させることは、疲労蓄積・判断能力低下・事故リスク増加といった観点から制限が設けられています。


144時間ルールの具体的な制限と例外

上限時間とカウント対象

  • 所属営業所を出庫してから144時間を超えてはならない
  • たとえその間に休日を取得しても、その時間もカウントされる
  • フェリーに乗船して休息している時間は、上限時間の計算から除外される扱いが認められることもある

運行途中に休日を入れるケース

運行途中で休日を取ること自体は認められていますが、その休日時間も144時間制限の範囲内で扱われます。
つまり、運行期間に休日が含まれても、「所定の営業所に戻るまで」の時間が144時間を超えてはいけないという原則は変わりません。


ケース別の注意点と例

以下、運行計画を立てる際に注意すべきケースとそのポイントを整理します。

  • フェリーでの休息時間
     乗船時間が一定時間であれば、その時間を「休息扱い」として144時間から除外できるケースがある
  • 「かみ合わせ運行(営業所に戻らず次の運行を続ける)」
     営業所に戻らない連続運行(かみ合わせ運行)は144時間ルールとの整合性に注意が必要。原則として1運行は営業所出発から帰庫までを基準とするため、かみ合わせ運行を続けることばかりでは制約に触れる可能性が高い

ルール理解の整理(表形式)

項目内容概要
制限時間同一運行で出庫から帰庫まで144時間以内
カウント対象運転・休憩・休日取得・待機など全体時間
例外扱いフェリー休息時間は除外可能なケースがある
休日扱い運行間の休日も144時間に含まれる扱い

運行管理上のポイントと実務への配慮

  • 運行計画を立てるときは、144時間の上限を超えないルートを組むこと
  • フェリー経由などを含む場合、乗船時間を正確に把握し除外可能か判断できるようにする
  • 途中で休日を取得する可能性を見込んだスケジュールにし、144時間を余裕をもって設計
  • かみ合わせ運行を多用する場合は、所属営業所に戻るタイミングを必ず計画に組み込む

まとめ

「1運行144時間ルール」は、トラックドライバーの長時間労働抑制、安全運行確保のために設けられた重要な基準です。所属営業所を出てから戻るまでの時間が144時間を超えてはならず、途中に休日や運行形態の変更があってもこの原則は揺らぎません。一方でフェリー乗船時間などの扱いで除外される例外もあるため、運行管理や計画段階での確認が不可欠です。これを理解しておくことが、無理なく安全な運行を実現する基盤になります。

ご希望があれば、この144時間ルールの最新改正動向や、他国ルールとの比較も含めた発展版をお作りしますが、そちらもご希望ですか?

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