道路を走行するすべてのトラックには、車両の安定性を保ち、乗り心地を向上させるための「サスペンション」が搭載されています。サスペンションは車体とタイヤをつなぐ重要な部品であり、その構造や種類によって、走行性能や積載物の保護に大きな影響を与えます。本記事では、トラックに使用されるサスペンションの種類とそれぞれの仕組み、メリットや選び方について詳しく解説します。
トラックに使われているサスペンションの基本構造と役割についての解説
サスペンションは衝撃吸収と安定性向上を目的とした装置
サスペンションとは、路面からの衝撃を吸収し、車体の揺れや振動を抑える装置のことです。車両の車軸(アクスル)とボディの間に設置されており、走行中の上下運動を和らげ、積載物やドライバーへの影響を最小限にする役割を果たしています。
【サスペンションの主な役割】
- 路面からの衝撃を吸収し、車体の揺れを抑える
- 積載物へのダメージを軽減する
- タイヤと地面の接地性を保ち、制動力や操縦性を向上させる
トラックの場合は特に積載重量が大きいため、車両の走行安定性を保つために高い耐久性と制動性能が求められます。
トラックに使用されるサスペンションの種類とそれぞれの特徴を一覧で紹介
主に使われる3種類のサスペンションタイプ
トラックに使用されるサスペンションは、主に以下の3種類に分かれます。
サスペンションの種類 | 特徴 |
---|---|
リーフサスペンション | 古くから使われる板バネ式。耐荷重性が高く整備性も良い |
エアサスペンション | 空気圧を利用し、乗り心地と衝撃吸収性に優れる |
トーションバー式 | 軽量トラックに使われるねじり棒構造。構造がシンプル |
それぞれのタイプには特徴があり、使用目的や積載物、走行環境に応じて最適な選択が求められます。
リーフサスペンションの仕組みとトラックでの採用例について詳しく解説
板バネ構造が特徴の耐久性重視型サスペンション
リーフサスペンションは、複数枚の鋼製板(リーフ)を重ねた構造で、上下の衝撃をしなりで吸収する仕組みです。特に中型・大型トラックで多く採用されており、整備性に優れ耐荷重性が高いというメリットがあります。
【リーフサスペンションの特長】
- 重い荷物を積んでも沈みにくい
- 悪路や段差にも強く、安定感がある
- シンプルな構造でメンテナンスがしやすい
一方で、路面からの衝撃が直接伝わりやすいため、乗り心地はやや硬めになります。積載物がデリケートな場合には注意が必要です。
エアサスペンションの仕組みとその優れた乗り心地の理由を解説
空気圧の調整で振動を抑える高機能型のサスペンション
エアサスペンションは、金属製のスプリングの代わりにエアバッグ(エアチャンバー)を用いて、空気の力で衝撃を吸収するシステムです。空気圧を制御することで車高や反発力を調整できるため、乗り心地が柔らかくなります。
【エアサスペンションのメリット】
- 衝撃吸収性が高く、積載物の保護に優れる
- 高速道路での走行が安定しやすい
- 車高調整が可能で、荷物の積み下ろしがしやすい
特に医薬品や精密機器など、振動に弱い貨物を運ぶトラックには最適です。反面、構造が複雑で導入コストやメンテナンス費用が高めになるというデメリットもあります。
トーションバー式サスペンションの仕組みと用途について簡潔に解説
ねじり構造でスプリングの役割を果たすコンパクトな仕組み
トーションバー式サスペンションは、車体と車軸をねじれにより接続する構造で、主に小型トラックやバンタイプの車両に使用されます。コンパクトで構造が簡単なため、軽量車両に適しています。
【特長】
- 構造がシンプルで軽量化に貢献
- メンテナンスが容易
- 小回りの利く車両に向いている
ただし、重積載には向いておらず、大型車ではあまり採用されません。
どのような基準でサスペンションの種類を選ぶべきかをわかりやすく解説
使用目的と積載物の性質を基準に選ぶのがポイント
サスペンションを選ぶ際には、以下の要素を考慮することが重要です。
【選び方のポイント】
- 輸送する荷物の重量とデリケートさ
- 運行する道路環境(舗装状況や坂道)
- 運転時の快適性や長距離運行の頻度
- メンテナンス性とコストパフォーマンス
例えば、建材や工業製品を運ぶ場合はリーフサスペンションが適しており、精密機器や食品など振動に弱い荷物にはエアサスペンションが最適といえます。
まとめ トラックサスペンションの仕組みを理解して適切に選ぼう
トラックに搭載されるサスペンションは、安全性と積載性能を支える非常に重要な装置です。リーフ、エア、トーションバーといった種類ごとに特徴と適性が異なるため、自車の用途や荷物の特性に応じて最適なタイプを選ぶことが求められます。正しい知識を持つことで、車両のパフォーマンス向上と輸送の効率化が実現できるでしょう。
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