車を所有している以上、定期的な「車検(自動車検査登録制度)」は避けられません。特に業務で使用される「トラック」の場合、車検制度が乗用車とは異なる点が多く、知らずにいると業務への支障や法令違反のリスクにもつながります。本記事では、トラックと乗用車の車検制度の違い、車検の頻度、費用、検査項目、注意点までを詳しく解説します。事業者・運転者どちらにとっても有益な知識として、ぜひお役立てください。
車検とは?基本的な役割をおさらい
車検とは「自動車検査登録制度」の略称で、国が定めた基準に適合しているかを定期的に確認する制度です。安全性、排出ガスの規制、保安基準などに適合しなければ公道を走ることができません。
車検は法律で義務づけられており、乗用車もトラックも例外ではありません。しかし、両者では使用目的や構造の違いから、検査内容や期間に違いがある点が重要です。
トラックと乗用車の車検の違いとは?
トラックと乗用車の車検制度は、次のような点で大きく異なります。
1. 車検の有効期間が異なる
車種 | 初回車検 | 2回目以降の車検頻度 |
---|---|---|
乗用車 | 初回は3年 | 以降は2年ごと |
小型貨物車 | 初回は2年 | 以降は1年ごと |
大型貨物車 | 初回も1年 | 以降も1年ごと |
トラック(貨物車)は使用頻度が高く、走行距離も長いため、安全性の観点から車検の間隔が短く設定されています。特に業務用の車両では「1年ごと」が基本です。
2. 検査項目の違い
トラックは積載量や車両構造が複雑なため、乗用車よりも厳格なチェックが必要です。たとえば、
- 荷台の固定状態
- 最大積載量の適合性
- ブレーキやシャーシの耐久性
など、過積載や運搬物に起因する事故を防ぐための細かい項目が多く設定されています。
トラック車検にかかる費用の目安
トラックの車検費用は、車両の大きさや構造によって大きく異なります。以下におおよその費用感を示します。
車両種類 | 車検費用の目安(総額) |
---|---|
軽トラック | 約6万円〜10万円 |
2トントラック | 約8万円〜15万円 |
4トン以上トラック | 15万円〜30万円以上になることもあり |
費用に含まれるものは以下の通りです。
- 自動車重量税
- 自賠責保険料
- 検査手数料
- 整備・点検費用
- 消耗品交換(タイヤ、ブレーキなど)
業務用車両であるため、万が一の故障が直接業務に影響することを考えると、定期的な整備・部品交換も不可欠となります。
トラック車検で注意すべき点
トラックの車検は、単に法定検査を受けるだけではなく、次のような点に特に注意する必要があります。
1. 車検切れのリスク
トラックの車検は「1年ごと」が基本のため、うっかり失効してしまうケースが少なくありません。事前に社内でリマインド体制を整えることが重要です。
2. 過積載や違法改造への対応
車検時に「積載量が実際と異なる」「構造変更が未申請」と判断された場合、整備不良で再検査になるだけでなく、法的な処分を受けることもあります。
3. 任意保険の適用に影響
車検切れの状態で万が一事故を起こした場合、任意保険が適用されない可能性があります。ドライバーだけでなく会社全体にとって大きなリスクとなります。
トラックの車検を効率的に管理するには?
事業者として複数台のトラックを保有している場合、以下のような管理方法を導入することで、効率的な運用が可能になります。
デジタル台帳の活用
Excelや専用ソフトで「車両ごとの車検期限」を一覧管理することで、見落としを防げます。リマインド通知を設定しておくとさらに安心です。
整備工場との提携
定期的な整備・点検を依頼する整備業者とパートナーシップを結び、車検前点検も含めて一括で管理してもらう体制を構築すると負担が軽減されます。
点検記録簿の保管
トラックには法令で「日常点検」と「定期点検」の記録が義務づけられており、これらを正しく管理・保管しておくことで、車検時のスムーズな対応が可能です。
まとめ
トラックと乗用車では、車検制度の仕組み・頻度・検査内容・費用に明確な違いがあります。
- トラックは1年ごとの車検が基本(大型貨物は初回から1年)
- 積載量や構造のチェックなど、検査項目が厳格
- 業務への影響を避けるため、スケジュール管理が重要
- コストは高めだが、整備の信頼性確保が最優先
業務用車両である以上、安全性とコンプライアンスの確保は絶対条件です。トラックの車検を正しく理解し、継続的に管理することで、事業の安全運行と信用維持につながります。
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