大型トレーラーや特殊車両を公道で運行するためには、一定の手続きを経る必要があります。それが「特車申請」です。特に物流や建設業などで大型車両を扱う企業にとっては必須の知識です。本記事では、特車申請の制度内容と対象車両、具体的な申請方法、注意すべきポイントまでをわかりやすく解説します。
特車申請とは?
一般道で特定の大型車両を運行するための事前許可制度
特車申請とは、道路法に基づき、車両の寸法や重量が法定制限を超える場合に、事前に道路管理者の許可を得て運行するための制度です。正式には「特殊車両通行許可申請」と呼ばれます。
項目 | 内容 |
---|---|
根拠法令 | 道路法第47条の2 |
管轄 | 国土交通省および各地方自治体の道路管理者 |
対象 | 車両の構造または積載物により法定制限を超える車両 |
特車申請が必要な車両の条件
条件 | 基準(法定制限) |
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車両の長さ | 12.0メートル以下 |
車両の幅 | 2.5メートル以下 |
車両の高さ | 3.8メートル以下 |
総重量 | 20トン以下(一般的な道路) |
最小回転半径 | 12.0メートル以下 |
これらのいずれかを超える場合には、特車申請を行い、通行許可を得る必要があります。
特車申請が必要な主なケース
車種 | 該当例 |
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セミトレーラー | コンテナや建設資材の長距離輸送時 |
重機運搬車 | 工事現場で使用する大型建機を積載する場合 |
タンクローリー | 液体やガスなどを大量輸送する場合 |
クレーン車 | 伸縮ブームによって全長・重量が増す場合 |
車両そのものだけでなく、積載物の形状や重量によっても申請対象になるケースがあります。
特車申請の種類と内容
申請種別 | 説明 |
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単独申請 | 特定の日時・ルートで1回限りの運行を行う場合 |
包括申請 | 一定期間、同一条件の運行を繰り返す場合 |
包括包括申請 | 車両と経路の組み合わせが複数ある定常的な運行の場合 |
事業の運用内容に応じて、最も効率的な申請方式を選ぶことが大切です。
特車申請の流れ
- 通行経路の設定
- 起点と終点、通行するルートを地図上で指定
- 車両情報の登録
- 全長・全幅・総重量・軸重などを正確に入力
- 申請書作成・提出
- 国交省の「特車申請オンラインシステム」を利用して電子申請
- 審査
- 内容に不備がなければ、原則2週間〜1か月程度で許可が下りる
- 通行許可証の発行
- 許可証は運行時に必ず携帯し、提示できる状態にしておくこと
特車申請の注意点とポイント
注意点 | 解説 |
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無許可運行は違反 | 最大で6か月の懲役または30万円の罰金の対象に |
経路ごとに申請が必要 | 目的地によっては複数の経路を分けて申請する必要がある |
申請には時間がかかる | 繁忙期や複雑な経路では許可に数週間かかることもある |
車検証との整合性 | 登録内容と車検証情報が一致していないと却下されることがある |
計画的に申請を進め、許可が下りてから初めて運行可能になります。
まとめ
特車申請は、大型車両や特殊な積載物を安全に道路上で運行するための重要な制度です。法令を遵守し、正しく申請を行うことで、事故や法的トラブルを回避しつつスムーズな物流を実現できます。運行計画の初期段階から申請の準備を進め、余裕を持って対応することが成功の鍵となります。
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